「 命をかけて日本を守り抜く覚悟 」
「自衛隊に行く子供たちって経済的に厳しい子供たちが行くんですよ。豊かな子供たちは自衛隊とかなりませんよ」
2026年6月15日の参議院決算委員会で古賀千景議員から出た言葉である。
小泉進次郎防衛大臣が「事実誤認であり、自衛官やその家族への配慮に欠ける」と強く反論し、古賀議員も発言をその場で撤回・謝罪したが、問題の本質は彼ら(日教組)がそのように固定観念をいだいている点にある。この発言は、防衛省が防衛白書の内容を子供向けにまとめた冊子「まるわかり!日本の防衛」を小学校に配付していることを問題視し「学校には北朝鮮、中国、ロシアの子供たちも通っている。こられが子供たちの目に触れたた時に、子供たちがどのような傷を負うか、そのことは配慮したか教えて下さい」との質問に続くかたちで出た発言だった。
この質問自体にも、論点のはぐらかし(北朝鮮の弾道ミサイル発射、中国の領海・領空侵犯、ロシアのウクライナ侵攻を無視)や主客転倒(日本の子供より北朝鮮・中国・ロシアを重視するのか)がある。この発言後、古賀議員は立憲民主党内の処分を受けたが、自衛官や家族に対する謝罪はない。
辺野古の沈没事故などで問題視されている「平和教育」・・『平和は協調だけでは維持できない。平和を獲得するためには力も必要である』・・軍事力を抑止力として巧みな外交を駆使して平和を維持しなければならないことは歴史的事実である。平和の大切さ、戦争を回避する外交や抑止力などを総合的に教えるのが「平和教育」だと思料する。現在の「平和教育」は「反軍教育」であり、思想教育ではないのか。
戦争反対を自衛隊駐屯地・基地正門付近で行っているが、お門違いである。米国を例に見ても戦争に反対するのは軍人であり、やりたがるのは政治家である。「戦争反対」や「憲9条を護れ」などのプラカードを持っての運動は国会前かロシア大使館の前でやるのが筋ではないだろうか。
日本を取り巻く安全保障環境は激変している。米国のいわゆるパックス・アメリカーナは凋落し、イラン戦争を見て分かるように米国は戦争に勝利できない。トランプ大統領はNATOを変質させ無条件の同盟から条件の同盟へと変えている。それは米国を支援しなければ防衛しないという交渉である。
NATOで起こったことは日米同盟でも起こる。米国の要求(例えば台湾海峡での積極的な関与、防衛費増額など)を受け入れなければ日本防衛を行わないとの同盟の変化である。NATOと日米同盟が根本的違う点は即時参戦規定と英仏の核保有である。NATOは加盟国が攻撃を受けた場合には5条により他加盟国に防衛義務が発生する。また英仏により核の傘が提供可能である。
日米同盟は一方の国が攻撃された場合には、それぞれの国の手続きにより防衛義務が履行される。また核の傘は米国により保障されている・・NATOは米国の衛星国と変質したように見えるが、日本はそれ以上に米国の支配力が強い。
日米同盟は変化したのである。旧態依然とした左派の安全保障観は時代に適合せずに日本の骨幹を危うくする。台湾有事が発生した場合に、日本は日本人は国を守れるのか・・現実を見てみよう。
中国の強大な軍事力を持ってすれば、すぐにでも台湾海峡を渡海し台湾に侵攻できるのだろうか。しかし、ロシア軍が陸続きのウクライナに侵攻したのとは明らかに条件が違う。台湾海峡は狭い場所で約140キロ、潮の流れが速く、冬場には強風が吹き、濃い霧が発生して、夏場には多くの台風が通過する。台湾海峡は中国軍の前に立ちふさがる自然の要害である。大艦船群が整斉と行動することを阻害し、侵攻時期を春先と秋口に限定する。中国軍の海上輸送能力はどうか。現在、中国海軍はドック型輸送艦8隻、戦車揚陸艦3隻、ヘリコプター搭載強襲揚陸艦3隻等を保有しているが、これだけでは同時輸送能力が限定される(強襲揚陸艦が12隻に増えるなど艦艇の増強が続いている)。これを補うため民間貨物船を徴用し活用するだろう。現在、中国は貨物船(1000トン以上)を約5200隻、香港は約1500隻保有する。ただし、大規模な民間船の徴用は中国の物流システムに大きな影響を与え、国民生活に負担をかけることになる。軍用艦船で強襲上陸した部隊が主要港湾を確保した後に、これらの貨物船を使用し後続部隊を上陸させる。
台湾本島への上陸にも多くの障害がある。台湾西部の海岸のうち上陸に適しているのは台北市、台南市正面と一部の台中市正面に限定される。海岸からすぐに市街地が広がり、上陸部隊が展開するのに十分な地積が確保できない。内陸侵攻に移行しても、台湾を北部から南部に貫き、島を東西に分ける中央山脈の天険が最大の障害となる。この地形障害が台湾東部地区への侵攻をきわめて困難にしている。
台湾本島の地形を巧みに活用した陣地配備、台湾海峡の障害を最大限に利用したアウトレンジからのミサイル攻撃、また機雷・地雷の敷設と対機甲火力の組織化など、台湾軍の組織的な防御戦闘を侮ることはできない。加えて中国は、アメリカの介入と日本の存在を考えなければならない。現状では台湾侵攻にはかなりのハードルがあり、作戦は困難をきわめることになる。
しかし、ロシアのウクライナ侵攻を見ても分かるとおり、権威主義国家では指導者がいったん決心すれば、いかなる困難性や犠牲があっても作戦を実行する。そのことを忘れてはならない。
『その時、日本はどうする!』
東シナ海において作戦遂行中の米海軍駆逐艦に、中国海軍フルゲート艦から対艦ミサイルが発射される事案が発生した。米政府の要請により、日本政府は当該事案を存立危機事態に認定し、それまで米海軍艦艇に後方支援活動を行っていた海上自衛隊に米艦防護の命令を下した。
与那国島西方海域を飛行中であった海上自衛隊の哨戒機が、中国海軍駆逐艦から発射された対空ミサイルにより撃墜された。また、同日には米艦防護任務中の護衛艦に中国海軍戦闘機から対艦ミサイルが発射されたが、これは対空ミサイルにより迎撃された。日本政府は、両攻撃を武力攻撃事態に認定し、全自衛隊部隊に防衛出動を命じた。未明から石垣島では、Jアラートがけたたましい警告音を発するとともに、中国軍の巡航ミサイルが自衛隊の防空網を突破し、空港・港湾や発電施設などに次々に着弾した。これは架空のシミュレーションである。
米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は、中国が台湾に侵攻するとのシミュレーションを数回実施し報告書を出している。その中で「侵攻は最初の数時間で台湾の海空軍の大半を破壊する攻撃から開始され、中国海軍は台湾を包囲し、数万の中国軍兵士が海峡を渡る。しかし開戦と同時に米軍が介入し、台湾地上軍は上陸拠点の中国軍を急襲し、日本の自衛隊の支援を受けた米海軍が中国軍の上陸船団を撃沈し、ほぼすべてのシナリオで中国軍の侵攻は失敗する」と予測している。このシミュレーションの前提は、日本が当初から重要な役割を担うことである。日本は参戦し、結果として自衛隊は多くの隊員と航空機112~161機、艦艇26隻を失うとしている。
現在、政府は安全保障環境の激変に対応するため「国家安全保障戦略」など戦略3文書の改訂作業を行っている。防衛力の抜本的強化は待ったなしである。
人員・装備などの戦力強化とともに、その戦力の損耗を補う態勢の整備も必要である。特に継戦能力の柱である人的戦力については大きな課題がある。現在、募集環境は厳しく、部隊は慢性的な充足低下(欠員)に悩まされている。ウクライナ戦争を見ても分かるとおり、人員の確保には国家として動員を行っている。しかしながら、徴兵制の無い日本において動員は非現実的であり、その損耗を補う手段は予備自衛官と緊急募集になる。

陸上自衛隊幹部候補生学校(卒業式)
有事の緊急募集の実効性は「命をかけて日本を守り抜く」との国民の決意にかかっている。古賀議員のような旧態依然とした自衛隊観や反軍思想を有している方々に決意があるだろうか・・。有事の際には自衛隊官に丸投げするのではないか。国民の強い信頼と支持がなければ自衛官は任務遂行が出来ない。
日本は犠牲をいとわずに米国とともに戦い、台湾海峡の平和と国の安全を守ることができるのか。日本人の真価が問われる時が目前に迫っている。
了
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